みなさん、こんにちは!
突然ですが、みなさんは独立を考えたことはありますか?一度は誰しも考えたことはあるのではないでしょうか。
とくに不動産業界は独立される方も多く、宅建士の資格は独立時に強い味方になります。
この記事では、不動産業独立の市況、業務、独立にかかわる手続きについて解説します。
一口に「不動産業として独立」といっても、事業は様々ですので、この記事でまずは業界の理解を深めましょう。まずは宅建士の資格からという方はコチラのページを参照ください!
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この記事の執筆者の信頼性
ひのブログ宅建士部門執筆者:小金井 俊(宅建士、管理業務主任者資格保有者)
【筆者プロフィール】
名前:小金井 俊
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級ファイナンシャルプランナー合格。
不動産会社勤務歴10年。宅建士取得後、管理業務主任者、2級ファイナンシャルプランナーに合格しました。私自身、不動産業界が長いので、独立されて成功された方も多くみてきました。
今回はその辺りを解説させていただければと思います!
宅建士、不動産業界の独立状況
まず、不動産業として独立されている方は、どのくらいいるのでしょうか?独立の多いコンビニエンスストア(フランチャイズ経営)やラーメン店と比較しました。
【各業界の数】
●不動産業の法人数:378,460社(出典:2024年不動産業統計集)
●コンビニ店舗数:55,684店(出典:コンビニエンスストア統計調査月報2024年7月度)
●ラーメン店舗数:24,257店(出典:都道府県別統計とランキングで見る県民性)
コンビニの店舗数、ラーメン店よりも不動産業者数が多いのは、びっくりですね。何故、不動産業はこれほどにも日本に多いのでしょうか。
理由① 独立すれば指定流通機構(REINS)が使用可能
これが不動産業界に独立が多い一番の理由でしょう
REINS(レインズ)とは、不動産屋が持っている募集情報が集まる、宅建業者のみ閲覧可能なサイトです。
多くの不動産屋は、REINSの活用が義務付けられておりますので、日本中にある情報を全宅建業者が閲覧することが可能です。
つまり、自社で物件情報がなくとも、宅建免許さえ取得すれば、REINSにより客付け営業(入居者を紹介し、成約時入居者から手数料を受領する)が可能なのです。
なのでREINSを見るために、とりあえず法人を作っておくということになります。
理由② 不動産業の参入障壁が低い
不動産業者数は、ここ20年でどんどん増加している傾向があります。
不動産仲介業務の場合、宅建免許さえ取得すれば、誰でも開業が出来る「参入障壁の低さ」によります。
不動産仲介業は、ラーメン店など飲食業とは異なり、設備投資や食材の調達が不要のため、初期費用を抑えることができます。また、独立当初は1人で始める方も多く、人件費も最低限に抑えられます。
極論、事務所さえあれば、不動産屋として開業が可能なのです。
コンビニの経営はフランチャイズ契約(セブンイレブン、ファミリーマートなど、名前を借りて運営する契約)が必要のため、フランチャイズ費の支払いや営業時間、商品の仕入れなど、様々な経費が経営を圧迫します。
一方、不動産屋は、フランチャイズ契約をしない限りは、制約もありませんので、事業を始めやすい環境も企業数増加の要因です。
理由③ リスクが比較的少ない
ラーメン店やコンビニ経営は、様々なリスクがあります。上記の通り、設備投資や食材の調達など、事業を開始する前に多額の費用がかかります。
さらに、お客様が気軽に入れるように、賃料の高い路面店(ビルの1階など)や繁華街への出店が望ましい傾向があります。
その点、不動産屋は自社で買取りなどをしない限りは、在庫をかかえるリスクがありません。また、事務所も路面店にこだわらなければ賃料を抑えることも可能です。
住宅街でも需要のある事業のため、繁華街にこだわる必要もありません。
宅建士の独立!不動産業の事業内容
不動産屋として独立した場合、どのような事業が可能でしょうか。一例を解説していきます。一般的に下記の4つの事業が主流となります。
【宅建士の独立】
・不動産賃貸仲介業
・不動産管理業
・不動産売買仲介業
・不動産買取業
1つずつ、解説していきます。
宅建士の独立① 不動産賃貸仲介業
家を探しにきた顧客にお部屋を紹介し、気に入った物件に契約いただくと、手数料を受領できるビジネスモデルです。
場合によっては募集側の業者からも広告費(AD)という名目で別途手数料を受領できる可能性があります。
今までは、集客のため目につきやすい駅前や路面店に店舗を構えることが一般的でした。しかし、現在はインターネットやSNSなど、集客方法も多様化しています。
工夫次第では、家賃や広告費などの負担を抑えることが可能となっています。
宅建士の独立② 不動産管理業
古くて営業しているかどうかもわからない不動産屋が、なぜやっていけるのか、不思議に思ったことはありませんか?
そのような不動産屋は、この「管理」を主に行っている場合が多いです。管理業は、営業をがんばらなくても、安定して収入が入るビジネスモデルです。
・清掃手配、設備補修などの委託費をオーナーから受領
・空室の部屋に別業者が客付けし、手数料を受領
・契約更新に入居者から更新料を受領
一方、管理業は地主などのオーナーから管理を受託する必要があります。(地主自ら管理業を行っている場合もあります)
古くからある不動産屋は、地主と古くから深いつながりがある場合が多く、新規参入して管理を受託することは、なかなか大変です。
地主やオーナーへ、コツコツと営業をかける必要があります。
宅建士の独立③ 不動産売買仲介業
先ほど紹介した、REINSには、賃貸情報のみでなく、売買情報も掲載されていますので、独立して不動産売買仲介を行うことも可能です。
賃貸と比較して、売買は金額も高く、その分手数料も高額です。また、賃貸仲介と同様に在庫を持たないビジネスモデルのため、開業のリスクも少ないといえます。
しかし、売買案件は金額大きいため、信用力のある大手企業に多く情報が集まる傾向にあります。
独立して売買案件を獲得するには、自分ならではの独自のルートがないと難しいかも知れません。
宅建士の独立④ 不動産買取業
不動産を自ら買取り、リフォームなどを手掛けた上、利益を乗せて販売することで収益を産むビジネスモデルです。
仲介業、管理業と比較すると収益性が高く、1件の取引で多額の収益を得られる可能性があります。一方、一度自分で購入する必要があるため、手元にそれなりの資金が必要ですし、売れ残りなどリスクも発生します。
また、事業を成り立たせるためには、相場よりも安く買取る必要がありますので、REINSの情報のみでは買取業は難しいでしょう。
独自の情報ネットワークにより、売却に出される前の段階で情報をキャッチするが必要があります。
宅建士が不動産業で独立する上での注意点
どの事業を行うにしても、経験や知識は必須です。
宅建士を保有しているからといって、未経験で独立することは避けましょう。まずは不動産業界に就職するのが良いかと思います。
不動産会社に就職してノウハウを学ぶか、経験のある方と一緒に事業を始めることをお勧めします。
また独立後は、トラブルなどがあれば自己解決しなければなりません。不動産業界は、特有の法令やトラブルが多いことから、自分の力で解決できる範囲は限られています。
不動産業界に詳しい弁護士に相談できる状況を作りましょう。
また、同業者との情報連携も重要です。地域特有の問題(特殊な法令がかかる地域、反社会的勢力が関わっている情報など)も多いため、近隣の不動産屋と情報交換ができる関係性を日常的に築くことを意識しましょう。
宅建士が不動産業として独立するためには?
ここからは、宅建士が不動産屋として独立するための具体的な手続きについて解説します。
宅建業者登録
不動産屋として事業を行う場合、「宅地建物取引業免許」を、事業を行う都道府県の知事(2以上の都道府県に事務所を設置する場合は、国土交通大臣)に申請し、認定を受けなければなりません。
認定には以下の要件を満たす必要があります。
【宅建業者の認定】
①事務所の設置
②専任の宅建士の設置
③営業保証金の供託or保証協会への加入
①事務所の設置
不動産業の事務所は、「継続的に業務を行うことができる施設」としなければなりません。つまり、居住しているマンションの一室や、他の会社の一部を間借りなどは、認定を受けられなくなります。
独立するためには、事業専門の事務所を借りる必要があります。
②専任の宅地建物取引士の設置
宅地建物取引士を1名、「専任」として設置をしなければなりません。「専任」ですので、他の企業に登録されている宅建士は設置できません。
また、従業員5名に対し1名以上の宅建士を専任で設置しなければなりません。そのため、従業員6名で事業を開始する場合、自分以外でもう1名専任の取引士として登録をする必要があります。
また、代表者やその役員が以下に該当する場合、免許を受けることができません。
③営業保証金の供託or保証協会への加入
上記の手続きを経て、宅建免許を取得した後3ヶ月以内に、以下のいずれかの対応をしなければなりません。
【営業保証金の供託】
本店(1店舗のみの場合、本店とする)は1,000万円、支店1つにつき500万円を供託所に預け入れる
【保証協会の加入】
国から指定を受けた保証協会(全国宅地建物取引業保証協会など)に加入の上、本店(1店舗のみの場合、本店)は60万円、支店1つにつき30万円を預け入れる。
営業保証金は高額のため、ほとんどの業者は保証協会に加入しています。
また、保証協会に加入すると先ほど紹介した「REINS」が使用できるようになりますので、独立の際は保証協会の加入がおすすめです!
まとめ
個人で独立を考えている方、他事業から不動産業参入を目指す方など、独立の経緯は人それぞれです。
独立は大変なことも多いですが、不動産業は比較的リスクも少なく始められる業界です。
今後の選択肢の1つとして考えると、資格勉強や業務への姿勢もより正されますので、ご興味のある方は検討されてはいかがでしょうか?